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資本主義の勃興期には大混乱の時代が存在する。マルクス主義経済学では「原始蓄積」などというが、産業革命初期の英国、明治の日本、今のロシヤなどがそうだ。この時代には文字通り「金が正義」で金の力でありとあらゆる横暴がまかりとおる。

しかしやがて生産力が飛躍的に拡大すると同時に社会的な矛盾が拡大して政治的緊張が高まる。話を大幅にはしょれば、そこで資本主義は自爆を防ぐために「金と権力の分離」を図った。これが現代の先進国の民主主義の根幹をなしている。

具体的には、

  • 選挙権から財産要件を外し、一人一票の普通選挙とした。(金持ちが金持ちを選挙するのを防ぐ)
  • 選挙法を設けて有権者の買収を禁じた。(金持ちが票を買うのを防ぐ)。
  • 公務員法を設けて公務員の買収を禁じた。(金持ちが行政を買うのを防ぐ)。

こうして金と権力の間にフィルタを置いて、国民の総意が政治に反映されやすくした。

ところが、選挙で選ばれた公務員(政治家)については長らく規制がないも同然だった。

これはある意味でやむを得ないところがある。有権者は投票にさいして時間以外にコストがかかるわけではないから金を受け取るのを禁止するのは簡単だ。公務員も仕事の対価として税金から給料が支払われているから、他人の利益のために働いて金を受け取ってはならないことは自明だ。

しかし政治家となると、税金から歳費を受け取っているにしても、それだけで政治活動はまかなえない。交通、マスコミの発達によって選挙にかかる費用が急速に増大するにつれて、再び金と権力の癒着問題がクローズアップされてくる。

この場合、政治活動をまかなえるだけの歳費を渡して、それ以外の金を受け取ることを一切禁止することもできるが、これは膨大な予算が必要なうえに適切な配分方法がないため、各種の独裁国家以外では採用されていない。

欧米各国とも長年かかって複雑な政治資金規制のシステムを作りあげてきた。多少古い(2004)が国立国会図書館がまとめた「欧米主要国の政治資金制度」という報告書がわかりやすい。

いずれにせよ、政治資金規制システムというのは、金と権力を分離するための民主主義の根幹を保護する装置である。

田中角栄の問題は個々の政策にはない。列島改造にしても後からならなんとでも言えるだろうが、当時としてはあのイデオロギーが一世を風靡する理由はあった。角栄問題というのは、現代先進資本主義国が長年かけて築こうとしてきた「金と権力」のフィルタを破壊する政治手法を大々的にもちこんだところにある。

官僚の行動原理に目をつけたところに角栄の天才があった。選挙によって国民から信任されるという手続きを踏んでいない官僚は議員に弱い。そこで角栄は子分の議員をひとまとめにして官僚システムに「国会での議決権」を売り込んだ。また官僚に金を渡せば買収だが、楽に当選できる議席や有利な天下り先をあてがうのは買収にはならない。

「オレの言うことを聞け。聞けば法案も通してやるし、身の立つようにもしてやる」というシステムだ。

つまり私的な金で官僚システムを丸ごと買収することによって公的な金の流れ先を決め、その公的な金で莫大な私的利益を生む。「金権政治」とはうまく名付けたものだ。

角栄が健在だったときにはまだ角栄という稀代の個性によってある種の統一がとれていた。しかし、よくできたシステムの常として、このシステムは発明者の失脚後も自己目的化して存続した。しかしそれでも角栄の直接の後継者である「苦労人」竹下の時代にはまだそこに一抹の角栄の余韻が残っていた。

ギリシャ後ではアレクサンドロスの死後、王国の版図を争ったセレウコス、プトレマイオスなどの将軍たちをディアドコイと呼ぶ。文字通り「後継者」という意味だ。しかし、ディアドコイのさらに後の群小の地方頭目はエピゴノイと呼ばれた。「後で生まれた者」という意味でこれがエピゴーネンの語源になっている。

多くの国や企業で、たたき上げでゼロからシステムを作り上げた創立者と、創立者と苦楽を共にした番頭の時代が過ぎると、そこにあるシステムを天から与えられた生得の権利と思い込むエピゴーネンが登場している。

小沢は角栄の金権システムのまさにエピゴーネンだった。そしていかにもエピゴーネンらしく失敗した。つまりさんざん他人をむしっては使い捨てにしてきたあげく、今度は金をむしった相手に使い捨てにされてしまった。因果応報というべきだろう。

日本の民主主義(と資本主義の自壊防止)のためにここで小沢ができることは徹底抗戦の末、行状を丸裸にされ、それによって政治家と国民に教訓を残すことだろう。

絶対に早まった辞任などはすべきでないぞ。

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