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いささか報告が遅れたが、2月24日(月)は日経BP主催の「クラウド・コンピューティング・フォーラム」を聴講してきた。

朝9:30にAmazonのエバンジェリスト・シモーネ・ブルノッツィ(Simone Brunozzi)氏のキーノートから始って、夕方5:15まで12セッションを詰め込むというかなりのハードスケジュール。しかしすべてのセッションがおおいに参考になるという近来になく充実したセミナーだった。聴講者は当初500人という枠だったはずだが、どうやらそれを上回っているように見えた。無料のセミナーにもかかわらず、最後のパネルディスカッションまで席を立つ参加者が非常に少なく、会場の熱気も高かった。

それぞれのセッションの内容についてはITプロの速報を、背景となるアメリカの最新事情については玉置記者の米国で沸き立つ“雲”という力作をどうぞ。

ここでは、特に印象に残った日本IBM岩野和生氏のレクチャーを紹介したい。

岩野氏は「世界のコンピューティング市場72兆円のうち12%が011年までにクラウドに移行する」というメリルリンチの予測を引いて、「待ったなし」の状況を強調した。

岩野氏によれば、スモールビジネス、ミドルエンタープライズのコンピューティング需要はほとんど全てがクラウドに移行し、それに伴ってクラウド移行をサポートするビジネスも大きな部分を占めるようになるという。つまりここ数年でクラウド以外の伝統的なITの市場はほぼ半減するというのだ。これはIT産業にとって驚くべき環境の激変だ。

今まで我が国のITベンダーの売り上げの大半はベン・ハーが奴隷として送り込まれたガレー船的な労働集約的コーディングからなっていた。それも多くは過去のシステムを放棄して一から開発をやり直している。いわゆる「車輪を再発明する」ような方式だ。

またソフト開発にハードウェアのレンタル、リース、サポートがからみあい、それに値引きやリベートが加わって、契約内容は当事者でも正確な内訳がつかみきれない。要は力関係とさまざまなしがらみをひきずった丼勘定、という例が依然として多い。

こういった江戸幕藩体制にクラウド・コンピューティングが文字通り黒船としてやってくる。

岩野氏はIBM社内ですでに運用されているクラウドの開発環境をデモした。開発者はプロジェクトに必要なリソース(メインフレームからWindowsサーバまでのハード、対応するOS、DB2などを含むアプリケーション)をメニューから選択して送信すると、社内での承認手続きを経て、数十分後にはログイン可能になる。

一般に現在の大企業の環境では、新規開発のためのリソースの割り当てに、ハードウェアが利用可能な状態でも数ヶ月、ハードウェアの調達から始めなければならない場合は1年以上かかるのが普通だ。そのプロセスが分単位で実現できてしまうのだ。しかもクラウドではコストも完全に自動的に正確に算出されるのでROIもこの上なく明快に計算できる。

これでは従来型のITベンダーは弓矢刀槍で連発銃と大砲に立ち向かうようなものだ。利用するユーザー企業側にも同じことがいえる。他社がクラウドで30分で必要な環境を立ち上げているときに来年度の計画の稟議書をまわしていては、そもそも競争になるまい。

IBMは昨年、揚子江デルタの中心、無錫市にBlue Cloud技術を利用した巨大クラウドコンピュータセンターを建設した。これによって同地の20万人といわれるソフトウェア技術者の能力が大幅に底上げされることになる。海外へのアウトソーシングもますます加速することになるわけだ。

日本のITベンダーはどう対応するのか? 経産省は?

事態はあまりに急速に動いていて、今までのような悠長な「5カ年計画」などではとうてい間に合うまい、という印象を受けた。

単なる夢想だが、この際、政府は先進的なクラウドコンピューティングのメジャー・プレイヤーと提携し、日本の行政のコンピューティングの全てをまかなうような巨大クラウドデータセンターを全国各地に建設してはどうだろう?

なお、クラウド全般の鳥瞰図については日経コンピュータの中田敦記者の「クラウドが引き起こすパラダイムシフトの全貌」というレクチャーがたいへん分かりやすかった。中田さんは日経BPのいわば「クラウド・テクノロジー・エバンジェリスト」で、玉置記者と共に今までも熱気に溢れた記事を多数書いている。

目玉企画のAmazonのブロノッツィ氏のレクチャー、Q&Aはじめ他のセッションも面白い情報満載だったが、別エントリーで書くことにする。

なお、Amazonの大規模分散処理データストレージシステム、Dynamoについてのフォーラムを日経BPが企画していることがQ&Aセッションで中田記者から発表された。これも大いに注目だ。

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コメント
この記事へのコメント
ご一緒したHです。
ちょうど「クラウドの衝撃」をきょう読み終えました。

北海道や樺太は、データセンターで街おこし!が可能かと思いました。
コールセンターは沖縄、データセンターは稚内…。風力発電もありますし(笑)。
2009/02/26(木) 22:23 | URL | Nanashi 2.0 #-[ 編集]
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