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橘川幸夫はちよだプラットフォームスクエアで第1,第3土曜日に「みんなの学校」というオープン企画会議を開いている。

今回の目玉はKindle。滑川の古い友人でソシオメディア社長の篠原稔和さんが最近アメリカからKindleを取り寄せたので、持ってきてデモしていただいた。おりよく日販の柴田さんや未来検索ブラジルの深見社長などの皆さんがみえており、皆さん興味津々で手に取っていた。

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TechCrunchが報じたところによると、2008年のKindleの販売台数は50万台程度で、「初期のiPodより売れている」らしい。

Kindleのローカライズにはいろいろハードルが多いことも事実だ。課題のひとつは配信ネットワークだろう。アメリカではKindleはSprintの携帯電話のインフラを利用している。Amazonは携帯大手のSprintoと提携しており、KindleユーザーはSprintと契約していなくてもKindleからアクティベーションしてSprintのネッワークが使える。通信規格はEVDO(CDMA方式のデータ通信)だ。ハードやソフトのアーキテクチャーに大きく手を加えないとすると、ローカライズ版もEVDO方式のキャリヤと提携する必要がある。

日本語対応にあたっては、フォント、縦組、段組、その他レイアウトなど表示面でも課題が多い。

しかし、そういったハードルをいろいろ考えてもKindleは研究に値するプラットフォームだと思う。

理由はいろいろある。まず第一にeブックリーダーというのは今後必ず普及するデバイスだ。iPhone(やAndroid)はすばらしいプラットフォームだが、あの大きさでは新聞やコミックのような「流し読み」するメディアには向いていても、大量の文字をじっくり読むのは難しい。かといってポケットに入るためにはサイズに限界がある。どこにでも持ち歩くにはネットブックも大きすぎる。パソコンであるかぎりスムーズに入力ができることが必須なので、その大きさはキーボードによって制限される。

また両者ともバックライト液晶なので電力を喰う。一回の充電で8時間くらいが限度だ。つまりiPhoneとノートパソコンの間にはフォームファクターとして大きなギャップがある。

もうひとつ、これはKindleを実際に手にしてみないと実感されにくいが、Kindleはノートパソコンと違って、本と同様、軽く手に取れる。パソコンで長時間文章を読むのが不愉快なのは一定の姿勢を強制されるところが大きい。この点、自由な姿勢で読めるKindleは決定的に快適だ。

ところが今までeブックリーダーはことごとく失敗してきた。いろいろな理由があるだろうが、最大の要因はコンテンツの供給、配信を含めたシステム、ないしプラットフォームとして構築されていなかったことだろう。デバイスとしてどんなに優れていても、それだけではただの箱にすぎない。

世界最大の書籍コンテンツの流通業者であるAmazonが本気で参入したことで、Kindleがデファクト標準となる道筋はほぼ見えた。

日本語というローカル言語市場から出発しなければならない(しかもプラットフォーム化を苦手とする)日本発の製品がこの流れを覆すのはまず不可能だと思う。(MS-DOSからiPhoneまで、日本の業界はいろいろな理屈をつけて「黒船」に抵抗したが、ことごとく失敗に終っている。)

しかし冒頭で述べたようなローカル化にあたっていくつかのハードルがある上に、Amazon自身の対応方針がまったく見えてこない。つまり将来必ず普及する必然性があるにもかかわらず、今のところ「宙に浮いた」プラットフォームなのだ。

(この項つづく)

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