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「切羽詰まる」という表現を辞書で引くと、「物事がさしせまって、どうにも切り抜けられなくなる。追いつめられて全く窮する」と説明がある。ところがその語源となるとなかなか納得できる説が見あたらない。

切羽とは日本刀の鍔の裏表に填めてある部品だ。Flickrに写真があるのでご覧いただきたい。鍔の左右に置かれた楕円形の平たい金物が切羽だ。

語源由来辞典などには「切羽が詰まると、刀が抜けなくなる」という語源説が挙げてある。

しかし一度でも日本刀を扱った経験があれば、この説が成り立たないことはすぐにわかる。

鍔の表(刀身)側の切羽は、硬い鋼の鍔が直接刀身に触れて傷を付けるのを防ぐ役割が第一と思われる。(切羽は銅、銀などの柔らかい金属で作られている)。裏側にも填めるのも、柄と鍔がすれるのを防ぎ、密着度を高めるためだろう。

裏側の切羽は鍔の厚み調整の役割もあると思われる。鍔は近代的な規格部品ではないから、交換すると当然厚みが変る。もし切羽なしに直接中子を柄に差し込んであったとすると、鍔の厚みが変ると中子を柄に固定する目釘穴の位置がずれてしまう。つまり柄を作り直さねばならない。切羽があれば、切羽だけを換えるなり、削るなりすればよい。

要するに切羽は単なるワッシャーにすぎず、柄の中に入り込んでもいない。だからこれが原因で刀が抜けなくことはない。「切羽が中子に詰まると鍔がつけられなくなる」という説明もあるが、これも説明になっていない。柄から中子を抜いた状態でなければ鍔と切羽を付け外しはできない。要するに分解中なので、刀が抜けるも抜けないもない。

同様に「鍔が切羽に挟まれて身動きできない状態」というのも疑問が残る。鍔がその位置に固定されているのは目釘によって刀身が柄に固定されているからで、目釘を外して刀身を柄から抜けば鍔も切羽も簡単に外れる。切羽によって固定されているわけではない。

それよりも「切羽に指を当てている=鍔を押し上げて、刀を抜く寸前の状況」から来たという説はいちおう納得できる。

しかし、「鍔ぜりあい」と同じで意味で、「相手の刀が切羽に当っている状況」を言うとも考えられる。

これはもう少し調べてみたい。

補足:刀を鞘に固定する部品は「はばき」という。Flickrの写真で鍔の左側の端に写っている長方形の部品だ。これを刀身の根本(はまち)に填める。このはばきが鞘の口に填って刀身が固定される。はばきのサイズが鞘とあわないと刀身が鞘の中でぐらついたり、抜きにくくなったりする。

「切羽詰まる」を「刀が抜けなくなる」意味だとする説が出てきたのは、「切羽」と「はばき」を取り違えたからではないだろうか。

アップデート:異常な物知りとして仲間内で有名なOnBookの市川昌浩編集長から「切羽詰まるの切羽とはトンネルや鉱山を掘る際の先端部分のことではないか」という意見があった。これもひとつのアイディアだ。なるほど切り羽が詰まれば困る。

しかし、単なる感想だが、ちょっと可能性が薄いと思う。まず読み方が刀の場合は「せっぱ」で、トンネルの場合は「きりは」だ。また「切羽詰まる」という用例は、どの辞書も一致して刀の切羽の項に置かれている。「きりは」の語源は「切り場」らしい。そうであればこれが「せっぱ」と読まれる可能性は小さい。もっともそうなると刀の切羽の語源が知りたくなる。引き続き調査の予定。

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2016/05/23(月) 13:46 | | #[ 編集]
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2014/08/18(月) 16:15 | | #[ 編集]
このコメントは管理者の承認待ちです
2013/10/30(水) 17:12 | | #[ 編集]
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