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Bloombergの記事によると、ワシントンDC政府は警察、消防、学校を含む3万8千人の職員向けにGoogle Appsの有料版(広告なし、サポートあり)を採用したという。契約額は年間約50万ドル。6月の導入から半年たって順調に効果を上げているようだ。

MicrosoftのWindowsとOfficeの年間売上190億ドルと比較すれば、ケシ粒のような額だが、MS帝国の屋台骨に打ち込まれたクサビの先端であることは間違いない。

MSはその巨体の持つ慣性だけでも10年は楽に転がっていくだろうが、それだけにGMと同様「気付いたときには手遅れ」になる可能性がある。いまのOfficeは肥大化によって退化している。90%はほとんどのユーザーが一生使わないような無用のDTP機能で、残りの10%も使い勝手はよくない。無料のOpenOfficeのほうがむしろ使いやすく実用的だ。

金融パニックの巻き添えを食ってGoogleの株も暴落している

しかしGoogleはいっさい他人から金を借りていない。株価の下落によって資金調達コストが上昇し財務体質の劣化をまねく、という死のスパイラルに陥る危険性はない。ストックオプションをあてにしていたGoogle社員にとっては大打撃だが、結局は帳簿上の資産の目減りにすぎない。

しかも広告支出の削減であらゆる広告が一様に打撃を受けるわけではない。広告費削減の影響をまともに受けるのは、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌といった伝統的な媒体だ。インターネットでもバナー広告はある程度の影響を免れないだろう。

しかし逆に、この不況は企業の検索/文脈連動広告へのシフトを加速する強い圧力になることを忘れてはならない。文脈連動広告は成果主義だ。企業サイトの訪問なり成約なり、あらかじめ設定した成果が上がらなければ料金を払う必要はない。成果が上がれば、売り上げの増加につながるのだから、コストを負担することに問題はない。

しかもGoogleの広告主はテレビや新聞のように一握りの大企業ではない。営業を検索連動広告だけに依存する膨大な数の中小、零細ビジネスのロングテールが存在する。こういう企業は運営を続ける限りGoogleに広告を出し続けざるを得ない。

Googleの収入に関していえば、景気全体の減速と消費の縮小というマイナス要因が存在するのはたしかだが、「つかみ金による広告」から「成果主義の広告」へのモーダル・シフトが落ち込みのかなりの部分をオフセットするだろう。つまり、Microsoftその他、ライバルに対するGoogleの地位は一段と強化されると予測できる。

一方、TechCrunchが指摘しているとおり、GoogleはYahooの検索事業の実質的な乗っ取りを図っている。Yahooの検索広告がGoogleに併合されてしまえばMicrosoftの検索広告事業は事実上競争力を失い、ビジネスの主軸をWindows/Officeからネットワーク上へ移す出口を塞がれてしまう。

そうなればGoogleは1990年代のMicrosoftというより、1920年のロックフェラーのスタンダード・オイルのような存在に近づく。

「権力は腐敗する。絶対的な権力は絶対的に腐敗する」という政治学の格言がある。企業経営に置き換えれば「独占は非効率を招く。絶対的な独占は絶対的な非効率を招く」と言い換えてもいいかもしれない。80年代のIBM、90年代のMicrosoftをみれば、いかなエクセレント・カンパニーも独占による毒素の自家中毒を免れないことがわかる。

Googleの存在はわれわれの日常生活にあまりにも広く、深く関わっている。MicrosftやIBMの比ではない。いちばん大きな問題は、予見しうる将来、Googleに代わりうる存在がないということだ。「壜から出た魔神」は呪文で元に戻すことができたが、Googleを元に戻す呪文はない。

いや、われわれユーザーのためにも、Google自身の活力維持のためにも、「司法省反トラスト局」、という呪文が効けばいいのだが。

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