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マイクロソフトからの買収の申し入れをめぐるジェリー・ヤンのこれまでの経営判断は控えめに言っても合理的とはいえなかった。しかしついにニューヨークタイムズのコラムがヤンを名指して「辞めろ」と書いた。「Oh Jerry, It’s No Longer Your Baby(おお、ジェリー、Yahooはもはやきみの赤ん坊ではない)」。

TechCrunchでマイク・アリントンがこの記事を取り上げてヤンの辞任は必至として後継者を予測している。

どうしてこういうことになったのか?

株価の推移というもっとも基本的な事実を見てみよう。Yahoo株は2006年1月の43ドルをピークに2008年1月の21ドルまで、わずか2年の間に50%以上も値を下げた。この間に株主が被った損失は300億ドル近くになる。公開企業としては決定的な危機というしかない。

NYTのコラムはまさにこの点を突いている。

ジェリー、きみが今のような億万長者になったのは、世界中の人々がきみの会社の株を買ってくれたからだ。人々はこの投資を守るためにきみが正しい行動を取るものと信じたのだ…Yahooの独立を維持したいとかMicrosoftには我慢がならないとかいう感情が、他人の金を預かる善良なる管理者としての義務を妨げるようなことがあってはならないのだ。

Microsoftによる買収こそ、長年にわたる株価の下落に苦しめられてきた株主にとって最後の、かつ最良のチャンスだった。今やそのチャンスは去った。…私はYahooのCEOとしてのきみの命数は尽きたと思う。誰か他の人間―誰の利益のために自分が働くべきなのか理解している人間がとって代わることが関係する全員にとって利益になると思う

会社を自分の思い通りに処分したかったら株式を公開すべきではない。ひとたび株式を公開したら他人の金を預かっているのだが、それを誠実に運用する義務が生じる―NYTの記事はジェリーの態度を「大企業のCEOとしてまれに見る株主無視の態度」と批判した。

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が、この期に及んでもシリコンバレーにはヤンを擁護する声が後を絶たない。TechCrunchのコメント欄にも1人、涙目でヤンを弁護する長文のコメントをつけ続ける関係者がいる。

シリコンバレーは起業家の町だ。そして現在スタートアップ企業を上場するのはSOX法や一般株主の保守化などによって不可能に近い。出口戦略としては既存の大企業による買収しかない。つまり「GoogleかYahooに会社を買ってもらう」のがシリコンバレーの住民共通の夢なのだ。YahooがMSに買収されるということは夢の半分が消えることを意味する―少なくとも多くの住民はそう信じているようだ。

下はガレージでお気に入りのプロジェクトを立ち上げたばかりの大学生から上はYahooの取締役会にいたるまで、「気前のいい大パトロン」としてジェリーにはシリコンバレーの絶対的アイドルだった。ジェリーはいつしかこの「おだての輿」に載ったまま裸の王様になっていったのだろうと思われる。

そうしてシリコンバレー内部の迎合的な空気だけを世界のすべてと勘違いして、あらゆる手段でYahooを救う道を考えるべきときに、あらゆる手段でMicrosoftを追い払う道を暴走し始めてしまったのだろう。

ジャン・リュック・ゴダールの映画にジャン・ポール・ベルモンド演じるフェルディナンという主人公がその気もないのにうっかり自爆死してしまうという作品があったのを思い出した。Yahooというインターネットを代表する巨大企業がかくもあっさり、かくも不条理に自爆するとは―事実は映画よりも奇妙だ。

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