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日経BP竹内さんから献本いただいた。アナリー・サクセニアンはIT産業でのシリコン・バレーの興隆とボストン地区の(相対的)没落を分析した「現代の二都物語(講談社)」の著者だ。

今回の「最新・経済地理学」はいわばその続編、グローバル版といえるだろう。IT分野で台湾、中国、インド、イスラエルがせいぜいこの10年の間になぜこれほど驚異的な成長を遂げたたのかを綿密な調査によって明らかにしようとしている。

原題は「The New Argonauts」。これらの地域の起業家を金羊毛を求めて冒険の旅に船出したギリシャ神話のアルゴ号遠征隊員になぞらえている。

まだ精読してはいないが、台湾とイスラエルは社会・産業全体のトータルなIT化に成功しつつあること、逆にインド、中国の場合―特に中国の場合―ITはじめごく一部の産業が突出して近代化していることによって地殻に巨大なひずみがたまり続けていることに強い印象を受けた。

もうひとつの印象だが、イスラエルを除く(これはやや特殊な事情がある)3カ国の成功の「秘密」というのは意外に平凡で、「官民一致協力して輸出立国にまい進する」という日本の高度経済成長時代の処方箋をIT時代に適用しているのではないかと思えた。

すると日本の現代の停滞―ガラパゴス化―は「努力をやめてしまった」という純然たる「ナマケ癖」にあることになる。もしそうだとすると、これは政府の政策ぐらいで変えることができるような問題ではない。

監訳者の星野岳穂氏(経産省)は日本政府も「官民あげてシリコンバレー進出」に努力していることを強調している。しかし「日本の若手エンジニアに刺激を与えた」例に「はてなの近藤淳也社長のシリコンバレー移住」があがっているのがいささか皮肉だ。

もっとも近藤氏の「凱旋」は「日本で成功したモデルをアメリカにもっていく」という耐久消費財輸出振興モデルではシリコンバレーでの起業は無理だという貴重な知見を与えたので、その限りでは無駄ではないと思うのだが。

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