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Brian UsseryというブロガーがGoogleがローカライズのために各国語の翻訳者に送った言語ファイルからGDriveなるサービスの説明を発見した

オンライン・ファイル・バックアップとストレージ…GDriveは信頼性の高いストレージをユーザーのあらゆるファイル、写真、音楽、文書を対象に提供します…GDriveであなたのファイルにいつでもどこからでも、さらにデスクトップ、ウェブ・ブラウザ、携帯など、どんなデバイスからでもアクセスできるようになります。

その後、この情報は有力なGoogleウォッチング・サイトGoogle Operating Systemに転載された。日本のブログの一部が早とちりしているのとは違って、これはGoogleの公式サイトではないので、まだGoogleによって公式確認されたわけではない。

しかし全体の雰囲気はかなりもっともらしい。今後の展開に注目。

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TechCrunch/CrunchgearのライターPeter Haが来日。「飲み会やろう」と呼びかけたらとんでもない反響が。TechCrunchの東京駐在ライター、Serkan Totoさんに頼まれてちょっと助っ人に行った。

大手の事業部からベンチャーまでおよそ東京中の元気のいいIT企業の皆さんが恵比寿のビアステーションに集合した感があった。雑用で忙しく、肝心のピーターや、いしたにさん、新潮社の庄司さんなどの友達ともゆっくり話せず残念。Totoさん、GenkiのCEO、Ken Brady他のみなさんと近所のモンスーンカフェで2次会につきあう。

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橘川幸夫はちよだプラットフォームスクエアで第1,第3土曜日に「みんなの学校」というオープン企画会議を開いている。

今回の目玉はKindle。滑川の古い友人でソシオメディア社長の篠原稔和さんが最近アメリカからKindleを取り寄せたので、持ってきてデモしていただいた。おりよく日販の柴田さんや未来検索ブラジルの深見社長などの皆さんがみえており、皆さん興味津々で手に取っていた。

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TechCrunchが報じたところによると、2008年のKindleの販売台数は50万台程度で、「初期のiPodより売れている」らしい。

Kindleのローカライズにはいろいろハードルが多いことも事実だ。課題のひとつは配信ネットワークだろう。アメリカではKindleはSprintの携帯電話のインフラを利用している。Amazonは携帯大手のSprintoと提携しており、KindleユーザーはSprintと契約していなくてもKindleからアクティベーションしてSprintのネッワークが使える。通信規格はEVDO(CDMA方式のデータ通信)だ。ハードやソフトのアーキテクチャーに大きく手を加えないとすると、ローカライズ版もEVDO方式のキャリヤと提携する必要がある。

日本語対応にあたっては、フォント、縦組、段組、その他レイアウトなど表示面でも課題が多い。

しかし、そういったハードルをいろいろ考えてもKindleは研究に値するプラットフォームだと思う。

理由はいろいろある。まず第一にeブックリーダーというのは今後必ず普及するデバイスだ。iPhone(やAndroid)はすばらしいプラットフォームだが、あの大きさでは新聞やコミックのような「流し読み」するメディアには向いていても、大量の文字をじっくり読むのは難しい。かといってポケットに入るためにはサイズに限界がある。どこにでも持ち歩くにはネットブックも大きすぎる。パソコンであるかぎりスムーズに入力ができることが必須なので、その大きさはキーボードによって制限される。

また両者ともバックライト液晶なので電力を喰う。一回の充電で8時間くらいが限度だ。つまりiPhoneとノートパソコンの間にはフォームファクターとして大きなギャップがある。

もうひとつ、これはKindleを実際に手にしてみないと実感されにくいが、Kindleはノートパソコンと違って、本と同様、軽く手に取れる。パソコンで長時間文章を読むのが不愉快なのは一定の姿勢を強制されるところが大きい。この点、自由な姿勢で読めるKindleは決定的に快適だ。

ところが今までeブックリーダーはことごとく失敗してきた。いろいろな理由があるだろうが、最大の要因はコンテンツの供給、配信を含めたシステム、ないしプラットフォームとして構築されていなかったことだろう。デバイスとしてどんなに優れていても、それだけではただの箱にすぎない。

世界最大の書籍コンテンツの流通業者であるAmazonが本気で参入したことで、Kindleがデファクト標準となる道筋はほぼ見えた。

日本語というローカル言語市場から出発しなければならない(しかもプラットフォーム化を苦手とする)日本発の製品がこの流れを覆すのはまず不可能だと思う。(MS-DOSからiPhoneまで、日本の業界はいろいろな理屈をつけて「黒船」に抵抗したが、ことごとく失敗に終っている。)

しかし冒頭で述べたようなローカル化にあたっていくつかのハードルがある上に、Amazon自身の対応方針がまったく見えてこない。つまり将来必ず普及する必然性があるにもかかわらず、今のところ「宙に浮いた」プラットフォームなのだ。

(この項つづく)

先日、「みんなの学校」で「0.8秒と衝撃」の2人に会った。最近橘川幸夫がイチオシのロックバンドだ。

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「みんなの学校」の後、残った全員で神保町の「さぼうる」に移ってお茶になったが、「0.8秒」の2人、そのあたりをぱっと照らし出すオーラがある。それにご覧のとおりフォトジェニックだ。まだMySpaceのデモ版しか聞いてないが、これからが楽しみ。

著者は野村総研主任研究員。内容はAmazonにアップされた紹介文がよくまとまっている。

■クラウド・コンピューティングとは何か

IT業界最大の創造的破壊といえる「クラウド・コンピューティング」という概念を整理し、 周辺技術との関連と合わせてわかりやすく解説する。

■クラウド・コンピューティングのメリットとは

クラウド・コンピューティングを導入することで、圧倒的な「コスト削減」と 「システムの柔軟性」を両立できることを、事例とともに紹介する。

■IT業界の巨人たちの動向

グーグル、アマゾン、マイクロソフトほか、IT業界の巨人たちはどのような 戦略をとっているのだろうか。それを分析することで、クラウド・コンピューティング 時代の到来の必然性が明示される。

■クラウド・コンピューティングを自社のビジネスにどう活かすか

業態や企業規模によって、最適なクラウド・コンピューティングとの付き合い方は 異なる。本書では自社のビジネスにクラウド・コンピューティングを導入する際の 判断基準となる戦略的フレームワークを提示する。

■クラウド・コンピューティングで世界がどう変わるか

クラウド・コンピューティングの影響は広範な範囲におよぶ。 クラウドの影響を受ける分野を列挙し、どのような変化が予想されるかを概観する。

クラウドコンピューティングの技術的、あるいは実践的な解説はすでに紹介した学びingのEC2本などがよいが、まずマクロなトレンドについて短時間で把握したいという場合には最適の1冊だ。文章はシンプル、ストレートで読みやすく、視点も公平だ。Windows Azureのアナウンスなど昨年10月までの重要事件が分かりやすい鳥瞰図に配置されている。

Google、Amazon、Microsoft、Salesforceといったおなじみの面々だけでなく、IBMやOracle、AT&Tなどの動向も触れられている。

驚いたのは、IBMがヨハネスブルグのデータセンターに16億ドルを投資するとしていることだ。野心的、というより「何を考えているのか?」といささか呆れる。ヨハネスといえば、その名前を聞いただけで数々のホラーストーリーが頭を横切る。外務省のホームページに、

ヨハネスブルグのダウンタウン地区(カールトンセンター付近からヨハネスブルグ中央駅及びヒルブローに至る地区)では、殺人、強盗、強姦、恐喝、暴行、ひったくり、車上ねらい、麻薬売買等の犯罪が時間、場所を問わず発生しています

と警告されているスーパー犯罪都市だ。データセンター内に職員の住宅も作り一個大隊くらいのプライベートミリタリーで24時間警備するのでなければ誰も転勤を承知しないだろう。

と、それはともかく、本書、まずはイチオシだ。

Google Japanの辻野新社長はインタビューに答えて「カギはローカル化だ」と言っていたが、それが激しくつまづくかたちとなった。

コグレマサトさんが2/9午前9時過ぎ、ネタフルで、「Googleが急上昇ワードランキングにpayperpost(金を払ってブロガーに記事を書かせる)の一種であるCyberBuzzを利用している」と指摘したのが発端。

続いてAkkyこと秋元裕樹さんが英語ブログAsiajinでGoogle Japan Buys Dirty Pay-Per-Post Links(Google Japanは汚いpayperpost記事を使っている)と批判。

Asiajinの同人でもあるTechCrunchライターのSerkan Totoさんが本家にPay Per Post: Google Uses Every Trick To Beat Yahoo In Japanという記事をアップ。TechCrunch Japanで前田さんがYahooからの市場奪取に向けて手段を選ばぬGoogle、PayPerPostキャンペーンを採用として翻訳した。

これで「payperpostの利用は検索の品質を低下させるから致命的だといって、利用したブログにGoogle八分を喰わせてきたのに、それを自分でやるのか?」と日米同時に大騒ぎになった。

本家TCの記事の読者が、Googleの検索品質管理責任者(いわば帝国保安省長官)Matt CuttsにTwitterでたれ込んだ。Cuttsは「時差があるから~」などと答えて時間を稼ぐいっぽうで(たぶん)日本側を叩き起こしたに違いない。

翌日、2/10午後2時、Google Japanは馬場康次(シニアマーケティングマネージャー)名で、「Google のサーチに関するガイドラインに違反することが判明し、このプロモーションに関しては中止しました」と平謝り。

最初のポストから30時間でケリが着いたのはさすがに早かった。しかしGoogle Japanサイトのページランクは9から5に急降下。どうやらMattの怒りの鉄槌は身内にも容赦なく下るらしい。くわばら。

IBMが自社のソフトウェアをAmazonのクラウドコンピューティング環境上に提供することが報じられている。

TechCrunch日本版、IBM、Amazonのサービスを用いてマイクロソフトのクラウド戦略対抗を狙うやCNetのIBM、「Amazon Web Services」を利用しソフトウェア提供へなどによると、IBMはDB2、Informix Dynamic Server、Lotus Web Content Managementといった中核的アプリケーションをAmazon EC2クラウドコンピューティング・サービスを通じて従量制課金で提供していく。

IBMではさらに開発用のAMI(Amazon Machine Image=OSや実行プログラムを組み込んだ仮想サーバの実行環境)を無償で提供するなどサポート体制の充実にも意欲的だ。具体的な価格についてはまだ明らかにされていないが、Amazon EC2利用で従量制となるとかなり画期的な低価格が期待できる。

日経コンピュータの中田敦記者が「クラウドはバズワード、ってまだ言いますか?」という記事を書いている。中田記者はルカ福音書の「新しいぶどう酒は新しい皮袋へ」という言葉をひいて、新しい実態が出現すれば新しい言葉が必要になる所以を説いているが、まさにそのとおりだ。私はどちらかというと漢文のほうに親しみがあるので論語を引いて「バズワード考える―子曰く、必ずや名を正さんか」というポストをしばらく前に書いた。

企業の情シス部門はいうまでもなく、ハード、ソフトのベンダー、インテグレータ、コンサルタント、データセンター、サーバレンタル業者…IT関連のあらゆる部門がクラウドコンピューティングの登場によってエコロジーの激変に見舞われる。

去年かららクラウド、クラウドと大声で語っていたわれわれも驚くほどの勢いでクラウドコンピューティングは進展しつつある。バズワードか否か、その定義は、などと重箱の隅をつついている場合ではない。今日にも、いままでの上得意から「例の件はAmazonを使ってみることにしましたので」と断りのメールが入るかもしれない。危機(とチャンス)は目前に迫っている。

日経BP竹内靖朗さんから献本。

本書の核心をなすメッセージは―

  • マーケティングはただの広告ではない
  • PRとはマスメディアだけを対象とするものではない
  • 人々は操作された情報ではなく、信頼性を求めている
  • 人々は参加したいのであり、プロパガンダは求めていない
  • マスに向けたマーケティングから、膨大な数のニッチに向けた戦略へと切り替えなければならない
  • ネットでは、マーケティングとPRの間にはっきりとした境界はない

これは、「口コミの技術 広告に頼らない共感型マーケティング」(いしたにまさき・コグレマサト/日経BP)でも力説されていた。ある意味、本書は「口コミの技術」アメリカ版の続編・拡大版だ。

著者のDavid Meerman Scottはナイトリッダーニュースの電子情報部門の幹部を始め、20年以上もPRに携わってきたベテランだ。YouTubeの本書のプロモーション用ビデオクリップをみると、フットボール選手のような巨漢で、エネルギッシュかつポジティブなオーラが伝わってくる。ちなみに、Meermanというミドルネームを使うのは他のDavid Scottと区別するためのSEOだそうだ。

Scottは上のビデオクリップで、自分の講演では「エデュケーション、エンタテインメント、モチベーション」を提供することを心がけていると語っているが、これは口コミ・マーケティング全般にも言えるだろう。「役に立って、おもしろく、行動へのきっかけになる」コミュニケーションといったらよいだろうか。

Scottの主張する「新しいPRの法則」は一言でいえば「人々に直接話しかけなければならない」だ。本書の刊行当時(2006年)、アメリカ最大のPR代理店EdelmanのSteve Siebelをはじめ旧来のメディアやPR代理店関係者は大いに反発した。

しかしSiebelがブログ記事で主張しているのは煮詰めれば「プロのジャーナリスト向けのリリースも必要だ」と言っているにすぎない。それも必要だろうだが、だからといって「人々に直接語りかける」ことをしなくていいことにはならない。日頃のSiebelに似ず、いささかみえすいた我田引水の議論だ。EdelmanがウォルマートのPRのために中年夫婦をでっちあげてやらせブログを作ったのがバレて大恥をかいたのがこの頃だった。足下も見ろ、という教訓になったかもしれない。

本書の内容はたいへん実践的だ。「人々に直接語りかける」とはどういうことか? 「とにかくたくさんリリースを書くことだ!」として、以下のように勧めている。

  • 面白い情報がある→リリースを書こう!
  • CEOがカンファレンスでしゃべった→リリースを書こう!
  • 受賞した→リリースを書こう!
  • 製品に機能を追加した→リリースを書こう!
  • 新しい顧客を獲得した→リリースを書こう!
  • ホワイトペーパーを出した→リリースを書こう!
  • 今朝気持ちよく起き…れなかったとしても→リリースを書こう!

しかしもちろん、ただ大量に書けばよいというものではない。それではスパムと同じだ。本書で提示される「新しいPR」コンセプトの重要な要素は「ソートリーダーシップ(thought leadership)という考えだ。

thought leader「思想的リーダー」訳語もあるが、「思想」というのはいささか抽象的すぎる。「新しい考えを人々に普及させる影響力を持った人々」というほどの意味だ。この考え自体は新しいものではないが、これをインターネットを利用した口コミ・マーケティングと結びつけたところが重要だ。

Scottは企業ブロガー自身がこの「新しい考え方のリーダー」になることで興味と信頼を創りあげるべきだと主張する。

ソートリーダーシップのコンテンツは対象となる人々が抱える問題を解決するものであり、自社や自社の製品について言及すべきではない

たとえばケータリング業者のサイトでは、ケータリングの料金表ばかりでなく、「結婚式のパーティーを準備する上で知っておかねばならないこと」などの役立ち情報を提供するのが効果的だ。そうした情報を利用した読者は、必要が生じた場合にはその業者を利用する傾向がある。つまりそうしたささやかな情報提供でも「ソートリーダー」としての信頼を獲得するのに役立つわけだ。

ところが、未だに大企業のサイトは新聞広告やテレビCMをhtml化しただけで、何の対話性もなく、読者に信頼されるリーダーシップの片鱗もない場合がほとんどだ。ウェブ・ページのイメージ動画を見て車の購入を決めるユーザーなどいるわけがない。まったく金のムダだ。

だが、今までのように、効果もろくに測定できないまま、代理店の言いなりに湯水のように広告費を使える時代は完全に終った。

しかしネットを利用したPRは、従来の広告やPRとは全く異質だ。その異質さをデジタル・ネーティブでない人々に伝えるのは思いの他難しい。ネットやブログについて自分で十分知識のある層も、上司・同僚に説明するために、大いに本書が利用できるだろう。

人間や人間の作った組織がときおり外聞の悪いことをやってしまうというのは必然だ。しかしそれは必然だと(大人なら)誰でも知っている。その対策も簡単だ。

あっさり認めて、謝る。

つまり初期消火だ。

コグレマサトさんのつぶやきがTechCrunchその他の報道を呼び、太平洋の両側で大騒ぎになったGoogle Japanの「やらせブログ」利用事件だが、公式ブログに経過の説明と謝罪の記事がアップされた。

Google 自身が上記のガイドラインに反したプロモーション活動を実施し、関係者やユーザーの皆様にご迷惑をおかけしたことを改めてお詫び申し上げます。また、ユーザーの皆様やネットコミュニティーの方々には、叱咤激励のお声をいただき、ありがとうございました。

「スペインの宗教裁判もびっくり」(モンティーパイソン覚えてるだろうかw)な異端審問官、Matt Cuttsの厳しいご指導を喰らったということも大きいだろうが、なんにしてもこの間のGoogleの対応は模範的な初期消火だった。

「payperpostはいちがい否定すべきでない」などの議論はあるものの、ネットでGoogleを非難する声はまったくない。

「日本人はメガネをかけてカメラを肩からさげてニヤニヤ笑いをしてすぐに謝る」と言われた時代があったが、最近、日本の組織や個人で、不祥事を起こしながら往生際悪く、見苦しい抵抗を重ねながら墓穴に入る例があまりに多い。

たとえば、というと…そのとおり、まず毎日新聞の例が思い浮かぶ。

英文毎日が長年怪しげなエロ雑誌を英訳してトラフィックを稼いでいたのは動かしようのない事実だ。しかし別に法律に触れたわけでもなく、誰かに具体的な損害を与えたわけでもない。それ自身はごくマイナーな不祥事にすぎなかった。「今後気を付けます」と一言いっていれば、もう誰も覚えていかっただろう。

ところが毎日新聞は、外部からの批判がとうてい無視できなくなるまで数ヶ月も放置し、次いで「第三者委員会」と称する茶番劇までしつらえて徹底抗戦を図った。その間に毎日新聞は完全に「変態新聞」としてのアイデンティティーを確立してしまった。

毎日OBの著名なジャーナリストが古巣のネット認識に改めてあきれかえったと発言しているのをSNSでみかけた。ブランドの自爆としては日本最大の事例だろうが、それでもまだ本人たちは気づいていないらしい。

オバマ大統領は、反トラスト担当司法次官補にクリスチン・バーニー氏(Christine A. Varney)を指名した。この人事は現在上院の承認待ちだが、拒否される可能性は少ないと見られている。

バーニー氏はジョージタウン大学ロースクール出身の弁護士、ロビーストで、テクノロジー、通商方面でワシントンで長く活躍してきた。

バーニー氏は昨年7月のカンファレンスで「〔反トラストの観点から〕Microsoftソフトはあまりに時代遅れなので問題にならない。問題はGoogleだ。彼らはオンライン広告の分野で独占に近づいている」と述べて注目を集めていた。

GoogleのCEO、エリック・シュミットがオバマを(いちおう)応援したかいもなく、Googleとしてはいちばん警戒すべき相手が反トラスト行政を仕切ることになりそうだ。

厳しい経済情勢を考えれば、司法省がいきなりGoogleに分割を迫るようなドラスティックな政策を打ち出す可能性はまずないだろう。しかしGoogleの行動に対する監視の目が非常に厳しくなることは間違いあるまい。

検索分野でGoogleがYahooを助けることはこれではっきりと不可能になったと見るべきだろう。また検索関連分野での企業買収のハードルも高くなると思われる。

いささか報告が遅れたが、2月24日(月)は日経BP主催の「クラウド・コンピューティング・フォーラム」を聴講してきた。

朝9:30にAmazonのエバンジェリスト・シモーネ・ブルノッツィ(Simone Brunozzi)氏のキーノートから始って、夕方5:15まで12セッションを詰め込むというかなりのハードスケジュール。しかしすべてのセッションがおおいに参考になるという近来になく充実したセミナーだった。聴講者は当初500人という枠だったはずだが、どうやらそれを上回っているように見えた。無料のセミナーにもかかわらず、最後のパネルディスカッションまで席を立つ参加者が非常に少なく、会場の熱気も高かった。

それぞれのセッションの内容についてはITプロの速報を、背景となるアメリカの最新事情については玉置記者の米国で沸き立つ“雲”という力作をどうぞ。

ここでは、特に印象に残った日本IBM岩野和生氏のレクチャーを紹介したい。

岩野氏は「世界のコンピューティング市場72兆円のうち12%が011年までにクラウドに移行する」というメリルリンチの予測を引いて、「待ったなし」の状況を強調した。

岩野氏によれば、スモールビジネス、ミドルエンタープライズのコンピューティング需要はほとんど全てがクラウドに移行し、それに伴ってクラウド移行をサポートするビジネスも大きな部分を占めるようになるという。つまりここ数年でクラウド以外の伝統的なITの市場はほぼ半減するというのだ。これはIT産業にとって驚くべき環境の激変だ。

今まで我が国のITベンダーの売り上げの大半はベン・ハーが奴隷として送り込まれたガレー船的な労働集約的コーディングからなっていた。それも多くは過去のシステムを放棄して一から開発をやり直している。いわゆる「車輪を再発明する」ような方式だ。

またソフト開発にハードウェアのレンタル、リース、サポートがからみあい、それに値引きやリベートが加わって、契約内容は当事者でも正確な内訳がつかみきれない。要は力関係とさまざまなしがらみをひきずった丼勘定、という例が依然として多い。

こういった江戸幕藩体制にクラウド・コンピューティングが文字通り黒船としてやってくる。

岩野氏はIBM社内ですでに運用されているクラウドの開発環境をデモした。開発者はプロジェクトに必要なリソース(メインフレームからWindowsサーバまでのハード、対応するOS、DB2などを含むアプリケーション)をメニューから選択して送信すると、社内での承認手続きを経て、数十分後にはログイン可能になる。

一般に現在の大企業の環境では、新規開発のためのリソースの割り当てに、ハードウェアが利用可能な状態でも数ヶ月、ハードウェアの調達から始めなければならない場合は1年以上かかるのが普通だ。そのプロセスが分単位で実現できてしまうのだ。しかもクラウドではコストも完全に自動的に正確に算出されるのでROIもこの上なく明快に計算できる。

これでは従来型のITベンダーは弓矢刀槍で連発銃と大砲に立ち向かうようなものだ。利用するユーザー企業側にも同じことがいえる。他社がクラウドで30分で必要な環境を立ち上げているときに来年度の計画の稟議書をまわしていては、そもそも競争になるまい。

IBMは昨年、揚子江デルタの中心、無錫市にBlue Cloud技術を利用した巨大クラウドコンピュータセンターを建設した。これによって同地の20万人といわれるソフトウェア技術者の能力が大幅に底上げされることになる。海外へのアウトソーシングもますます加速することになるわけだ。

日本のITベンダーはどう対応するのか? 経産省は?

事態はあまりに急速に動いていて、今までのような悠長な「5カ年計画」などではとうてい間に合うまい、という印象を受けた。

単なる夢想だが、この際、政府は先進的なクラウドコンピューティングのメジャー・プレイヤーと提携し、日本の行政のコンピューティングの全てをまかなうような巨大クラウドデータセンターを全国各地に建設してはどうだろう?

なお、クラウド全般の鳥瞰図については日経コンピュータの中田敦記者の「クラウドが引き起こすパラダイムシフトの全貌」というレクチャーがたいへん分かりやすかった。中田さんは日経BPのいわば「クラウド・テクノロジー・エバンジェリスト」で、玉置記者と共に今までも熱気に溢れた記事を多数書いている。

目玉企画のAmazonのブロノッツィ氏のレクチャー、Q&Aはじめ他のセッションも面白い情報満載だったが、別エントリーで書くことにする。

なお、Amazonの大規模分散処理データストレージシステム、Dynamoについてのフォーラムを日経BPが企画していることがQ&Aセッションで中田記者から発表された。これも大いに注目だ。

実はしばらく前からGoogleリーダーのフィードの見出しを見ただけで執筆者がわかるという珍しい経験をするようになっていた。個人ブログならともかく、大手メディア系のサイトでこれはあまりないことである。多様なテーマについて発言して、しかも言っていることが一目でその個人とわかるほど異質なのだ。

最初は秘かに「逆神」と名付けておもしろがっていたのだが、最近その異質の度合いがとみにエスカレートしている気配だ。この人物はアカデミズムの傍ら、社長が辣腕で有名な新興の音楽企業の何かをつとめているらしいので、著作権利権の番犬としてのポジショントークかと思っていたが、どうやら本心からインターネットを憎んでいるようである。

最近オクスフォードの教授が「ソーシャルネットワークは子供の心にゆがみをもたらす」と主張して話題になった。TechCrunchでSarah Laceyが真面目に反論していたが、要はイギリス版の「ゲーム脳」理論だ。こういう論法でいけばテレビはもちろん本も学校も親のしつけもなにもかも「子供の心にゆがみをもたらす」と主張できるわけである。

と軽く考えていたのだが、表題のようななにか異様な発言を見ると、インターネットについてあまり思いつめるのは場合によっては大人にも危険があるのかもしれないと思うようになった。憎悪しながらその憎悪しているメディアで発言を繰り返すというパラドックスが論旨になんらかの影響を与えているのかもしれないのだが…。


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